「好き」を仕事にするということ

準備編

「あなたの好きを仕事にしよう」
様々なところで叫ばれていますが、私はちょっと待って!と言います。

そもそも仕事って、誰かの「困った」とか「できない」とか「やる時間がない」とか
そんな様々な理由で、お金をいただいて変わりにやることです。

最初から「好き」をお金にするのは難しい

その中で「好き」とか「やりたいこと」を前面に出したら、仕事は決まらない。
私はそう断言します。
趣味として楽しんでいて「基本はお金にならなくてもいい」とか、それでいいなら良いです。
最初はお小遣いでも、「いずれはこれを本業に」も良いと思います。
副業からスタートしてみるとか、「生活していくためのお金」と切り分けて考えるならぜひ応援します。

ただ「好きなこと」で最初からお金をもらうのは、難しいです。
今、好きなことを仕事にしている人は、さんざん辛酸なめた下積み時代があってとか、
ひたすらに経験積みまくってとか、見えてない努力を重ねてきた方々です。
本当に運よく最初から稼げた方は、元々のベースが他の人と比べて超絶長けていたとか、
仕事にする上で、周りに強力な助っ人がいたとか、ものすごい運に恵まれていたか。
いずれにしても全員が、最初から「好き」をお金にすることは難しいと言えます。

仕事をする上での「好き」と「得意」は違う

まず「好き」と「得意」は大きく違います。

好き

  • 人になんて言われようが好き
  • お金を払ってでもしたい
  • 人間の三大欲求(睡眠欲・食欲・性欲)ですら、無視して没頭できる

得意

  • 難なくできる
  • 人より上手くできる
  • 人より早くできる

つまり「好き」は個人的で感情で良いけど、得意は他から見てどうかということです。
だから「好きだけど得意じゃない」とか「得意だけどやりたくない」もあっていいのです。

仕事に個人的感情は関係ない

就活ということで考えた時、「好きだけど上手くできない人」と「好きじゃないけどめちゃくちゃ上手くできる人」
これは後者に軍配が上がることが多いです。
なぜなら仕事に個人的感情はどうでもいいからです。
お金を払ってプロに依頼するなら、「あまり上手くできなかったけど、私はすごく楽しめました。またご依頼くださいね。」と言う人に依頼するでしょうか?
「上手くできないかもしれませんが、私がやりたいのでやらせてください。お金はいりません。」でも微妙ですね。
依頼するものと、その人のスキルによっては躊躇するのではないですか?

家でお母さんが子供のために愛情かけて作りました。とは訳が違うのです。
仕事としてお金をもらう以上は、お客様はプロに依頼するのです。
もちろん自分では「上手くできた」と思っていても、世の中には自分より上手くできる人はたくさんいるかもしれません。
上も下も気にしたらキリがないわけですが、仕事はよほどのことがない限り「自分しかやってない」こともあまり多くないです。
その中でも自分の強みがどこにあるかを、きちんとPRできれば上手くいくかもしれません。
それでもPRが上手くないとか、もっとその強みを持っている人がいたとかは想定の範囲内です。

好きなことを仕事にするためには

例えば「絵を描くのが好き」で仕事にしたい。
絵が好きな人も上手い人はごまんといます。
あなたの絵をお金を出してでも買いたい人は、どんな人だと思いますか?

私がさすがだなと思った某イラストレーターさんがいます。
「これを描いてる人だよ」と伝えれば、おそらく知らない人は少ないかなと思われる方です。
子供の頃から「絵を描くことが好き」で、将来は画家になりたいと思っていたそうです。
大学の同級生は「お金をもらうのは純粋な芸術ではない」と、一般企業に就職した方も多かったとのこと。
それでも「趣味ではなく絵をお金にする以上、稼げなくてはいけない」と、アルバイトをしながら描き続ける日々。
画風はその頃から固まっていたそうです。
確かに。この画風と言えば、この方だわ!と思います。
もちろんどう売り込んでいったかとかは、スマホもない時代に素晴らしいなとも思うのですが、
私がすごいと思ったのは、「自分の好きなもの」「売れるもの」「需要のあるもの」の中間点を探っていったこと。

「好き」を仕事にするということだけじゃなくて、「仕事」としての需要をしっかり考えているんだなと。
まあ当たり前と言えば当たり前なんですが、「好き」を「お金」に変えようとしている方は多いと思います。
ただ「好き」なだけでは、「お金」に変えることは難しい。
世間の「需要」が、あなたの「好き」であればいいのですが、そうではないなら難しいですね。

就職することと好きは同時に得ることは難しい

実は、私も絵を描くことは好きです。
ちょっと自慢すると、小学校の頃から写生会は毎年受賞してました(笑)
進学も一時期は美大、芸大を目指していたくらい。
親のせいにするわけではないのですが、「絵で飯は食えん」と言われて、諦めました(笑)

今思えば、絵を描くよりももっと自分に向いている仕事をしているので、結果オーライなのですが。
自分が諦めたから皆さんにも諦めろいうことではありません。
仕事とするためには、このイラストレーターさんのように自分で切り開いていく力が絶対的に必要なんだということです。

それから、この方はフリーランスとして活躍していらっしゃるので、そもそも「好き」で企業に就職したわけではありません。
最初から絵だけでお金をもらっていたわけでもありません。
つまりは「好き」と「お金」の両方を最初から得ることは難しいということです。
「就職すること」と「好きなこと」を一旦は切り離して考えることも必要です。

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